私的 昭和テレビ大全集
Google
Web全体から検索 当ブログ内 検索
総計
昨日  本日

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -



大空港 (1978)

該当番組画像募集


時代の趨勢で、心ならずもテレビの方へと回されていた
大松竹の映画プロデューサーだった升本喜年。
最初の『白い滑走路』で成功し、それはTBSが山口百恵の赤路線と並ぶ、
田宮二郎の白路線として定着させるまでに至ったのでした。
しかし、以後は段々と低迷し、ついに『白い荒野』では、
制作会社を国際放映に替えられるという屈辱まで舐めます。
そこで彼は、局をフジテレビに替えて、新規開港を目前に控えた
成田空港を舞台とする活劇を企画して見せたのでした。

開港目前と言っても、それはあくまで日程文言上での話。
実際には、開港を目前に控えて反対闘争も一層の盛り上がりを見せ、
それに対する警戒の方も厳重で、とてもそこを舞台にドラマを撮るなど、
まともな発案とは受け取らない人間も多数いたようです。
しかし、当時のフジにはやり手の人間もいて、
この一見無謀な企画に乗るのですね。
おそらくその胸中としては、報道の取材陣は、厳重な規制を受けながらも
カメラを持ち込んでいるのだから、やり方次第だと踏んでいたのでしょう。

一方、松竹・升本側も工作には余念が無く、主監督に井上梅次を起用。
この井上監督は、中曽根派の重鎮で後に総理大臣となる…
ほんの少しの間でしたが(笑)… 宇野宗佑と懇意という事で、
この宇野宗佑から小此木彦三郎に指示が下され、役人側への根回しがされました。
升本らが交渉した際には、とても無理だと頭から決めつけられ、
にべも無い態度だったものが一転、きちんと相手をしてくれるようになったと。
それにフジテレビ側からの先の提案とを絡め、なんとか行けそうな空気となったのでした。
世間の耳目を集める新開港の、新東京国際空港、成田空港で活躍する、
空港内での犯罪を取り締まる空港特捜部の男たちを描くドラマ。

主演は鶴田浩二。
彼の俳優人生は、松竹から始まっております。そして娯楽路線で大スタアとなりました。
しかし、ようやく文芸派の大御所である小津安二郎作品への出演を果たした際、
渋滞も有って撮影に遅刻してしまった彼に、小津安二郎が辛らつな皮肉を浴びせたのでした。
「松竹はいつから八百屋を始めたんだ。車で大根運んで来やがった」
撮影隊からは大爆笑。踏みにじられた鶴田浩二は松竹を去り、
彼のようなスタア俳優としては落ちぶれたような、まだ生放送時代のTVドラマにも出演。
遥か時を隔てて、松竹も落ちぶれてテレビ稼業に身を窶していての収斂。
大船に戻ってきた鶴田に、升本らは歓迎の幕を張って迎えたのでした。

さて、肝心の成田空港の方は、矢張りというか様々に揉めて、
開港がずれ込む公算となってきました。
そこで放送開始予定もややずれ込ませる事になる訳ですが、
そこで俳優たちの日程調整が問題となってくる。
鶴田浩二は主演だからまだしも、緒形拳や中村雅俊などは、
それぞれに忙しかったり、その立場に揺るぎないものを持つ身。
ずれ込みにも限度が有るので、取り敢えず空港内部に関してはセットで撮影し、
飛行機や滑走路等は羽田で撮影するという姑息な手段で凌ぐ事となりました。

そうして放送された第一話は20%超の視聴率を弾き、関係者は安堵。
しかし、以後は少しずつ減少傾向となっていき、
最初の1クールは路線を模索して四苦八苦といった感じでした。
当初は、『男たちの旅路』で注目された、鶴田浩二に特攻隊上がりという役を当て、
現実の鶴田の姿と役柄を重ねるという手段を真似ようと、
こちらでも鶴田の役をその様に設定していたのですが、情緒ドラマは数字を稼がない。
そうこうするうちに、緒形拳が辞意を漏らしたのでした。

まだ1クールも撮影し終えぬうちの辞意ですが、先に書いたように撮影が不安定だったり、
現場では鶴田浩二が親分のようにまとめていて、緒形も表面上は彼を立てていたものの、
内心は複雑な思いも有ったのかもしれません。
升本はその辺を慮って緒形を中心とした話を撮ったりしたのですが、
その回が最低最悪の視聴率となるという不運も重なりました。
胸中は解らないが止める術を失っていた升本は、せめてもの餞に、
緒形の梶刑事を思い切り派手に殉職させようと思い立ちます。

貨物トラックに乗り、テロ集団に激突して壮絶な爆死を遂げた緒形・梶。
この派手な仕掛けが、彼の置き土産となりました。
視聴率も持ち直し、火薬を使うと視聴率が上がるという思いが制作側に擡げます。
日本テレビ『大都会』の活躍にも刺激され、以後はこちらも派手になっていきました。
緒形の代わりには、路線のまるで異なる田中邦衛が参入。
彼の演技力には鶴田浩二も舌を巻くなど、段々と軌道に乗ってきます。
そんな中、今度は中村雅俊が降板の意向を打診してきました。

中村は、デビュー間も無い頃に、升本の機転で映画『ふれあい』が制作され、
望外のヒット作となったという関係が有りました。
民放では日本テレビにしか出ていなかった彼がこの番組に出たのも、
そのような関係が有ったからですが、流石に売れっ子で忙しかった。
升本は当然反対しましたが、当初は2クールという約束でしたよねと
マネージャーに言われれば、確かにそうだったと納得するしか無いのでした。
そこで、この中村の鯉沼刑事も派手に殉職する事に。

中古のセスナが三百万で入手可能と知り、それを使おうとはなったのですが、
勿論そんな金を急には作れません。
そこでフジテレビ側に相談すると、日頃辛抱してやってもらっているからと、
なんと倍の600万也が振り込まれていたのでした。
これで中村・鯉沼刑事も思う存分に爆死する事が出来ました(笑)。
また、白路線からずっと升本作品で使ってきた片平なぎさも降板。
ホリプロの意向で、後任には石川さゆりが据えられました。

当初2クール、半年予定だったものが、一度は落ち込みながらも盛り返し、
終わってみれば一年半もの長期作品となりました。
松竹テレビドラマとしても新記録でしたし、また、
フジテレビ月曜9時、所謂月9ドラマとしても、不倒記録となっております。
あれだけ擦った揉んだして無理矢理に開港しておいて、
五十年もせずにまた羽田を中心としようとなったりと、
空港行政はよく解りませんが、そんな成田が最も映え、輝いた作品だったでしょう。
関連記事


◆◆ 関連記事 ◆◆

Loading...

[猫カフェ]futaha



この記事を読んでくださった方へ

この記事を読んだよ~という方、できれば下のコメント欄からコメント下さい。
ご自身の想い出、この記事への感想、情報、なんでも結構です。
記事や最終コメントの日付は関係ありません。
あなたのコメントがこの記事に再びの息吹を下さるのです。
トラックバック受付アドレスは、コメント欄の下にあります。
コメント
この記事へ寄せられたコメント
↑
コメントを投稿する
HP
アドレス:
コメント:
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック
↑
レンタルCGI
管理者用
ブログパーツ