ご存知 遠山の金さん (1973)
中村梅之助が三年もの長きに渡って好評を博した人気シリーズ、
その二代目に抜擢されたのが、やはり歌舞伎俳優出の市川段四郎でした。
彼も際だって凛々しい顔というわけでなく、庶民派金さんに打ってつけではありました。
が、その分、初代梅之助との差別化に失敗したと言いますか、
あまり印象に残っていない人も多いかと思われます。
前作の際、サボってストーリーを解説しなかったんですが、
よく考えてみれば若い方などは近年、時代劇を見ないでしょうからね。
改めて基本的な話の流れを書いてみようと思います。
我々の世代はテレビは一家に一台で、食事中食後の団らんでテレビを囲んでましたから、
親が見る番組も否応なく付き合わされ、それが今にして思えば、
世界観を広げる事にも繋がっていたと思いますね。
なめくじ長屋に住む遊び人の金さんは、日頃は馬鹿ばかり言ってるお調子者で、
長屋のみんなに呆れられながらも人気者。
そんな金さん、巷を徘徊していると、そこここから噂が入ってくる。
やれ、あそこの誰それが汚い事をして金を稼いでいる。
それ、その背後にはお上のどこそこの誰彼がうごめいている。
話を聞くが早いか、金さんはてめえの目で直接そいつを確認。
相手はたかだか遊び人一匹と相手にもしないが、
そこで金さん、諸肌脱いで大啖呵。「てめえらの悪事はこの桜吹雪が見逃さねえ!」
何を、と怒り心頭で相手が斬りかかってきて大立ち回りとなるや、
奉行所の捕り方が大挙押し寄せてきて、金さんはどさくさのうちにいなくなる。
さて舞台は奉行所に移り、出てきたお奉行に悪人どもはシラを切ります。
「遊び人の金さんってフザケた野郎がいまして、
今回の件はそいつが仕組んだ事でございます」
すると件のお奉行の顔が綻び、
「おいおい。遊び人の金さんならてめえらの目の前にいるぜ」
とのたもうや否や、ずいと袴姿の脚をすり寄せ羽織をバッとはだけ、
せなに咲き乱れる桜吹雪を一座に披露し、カッと一喝。
「この桜吹雪に見覚えがねえかい!」 ハッと息を呑むお白砂の面々。
まさに北町奉行・遠山左衛門尉こそは、遊び人の金さんその人でありました。
万事休すと斬りかかる悪代官の白刃を扇子で叩き落とし、
「その者、打ち首獄門に処す!」と宣告。白砂でうなだれる悪人どもに更に
江戸市中引き回しだの、張り付けだの、罪に応じた厳罰に処すのでありました。
極悪には極刑を。
現代のエセ・ヒューマニズムが奪い去ったこの自然な希求を、
昭和時代の時代劇は存分に堪能させてくれたものであります。
逆に、貧しく身分が低い故に無実の罪に陥れられそうになった者は無罪放免。
勧善懲悪。これぞ時代劇の醍醐味でしょう。
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その二代目に抜擢されたのが、やはり歌舞伎俳優出の市川段四郎でした。
彼も際だって凛々しい顔というわけでなく、庶民派金さんに打ってつけではありました。
が、その分、初代梅之助との差別化に失敗したと言いますか、
あまり印象に残っていない人も多いかと思われます。
前作の際、サボってストーリーを解説しなかったんですが、
よく考えてみれば若い方などは近年、時代劇を見ないでしょうからね。
改めて基本的な話の流れを書いてみようと思います。
我々の世代はテレビは一家に一台で、食事中食後の団らんでテレビを囲んでましたから、
親が見る番組も否応なく付き合わされ、それが今にして思えば、
世界観を広げる事にも繋がっていたと思いますね。
なめくじ長屋に住む遊び人の金さんは、日頃は馬鹿ばかり言ってるお調子者で、
長屋のみんなに呆れられながらも人気者。
そんな金さん、巷を徘徊していると、そこここから噂が入ってくる。
やれ、あそこの誰それが汚い事をして金を稼いでいる。
それ、その背後にはお上のどこそこの誰彼がうごめいている。
話を聞くが早いか、金さんはてめえの目で直接そいつを確認。
相手はたかだか遊び人一匹と相手にもしないが、
そこで金さん、諸肌脱いで大啖呵。「てめえらの悪事はこの桜吹雪が見逃さねえ!」
何を、と怒り心頭で相手が斬りかかってきて大立ち回りとなるや、
奉行所の捕り方が大挙押し寄せてきて、金さんはどさくさのうちにいなくなる。
さて舞台は奉行所に移り、出てきたお奉行に悪人どもはシラを切ります。
「遊び人の金さんってフザケた野郎がいまして、
今回の件はそいつが仕組んだ事でございます」
すると件のお奉行の顔が綻び、
「おいおい。遊び人の金さんならてめえらの目の前にいるぜ」
とのたもうや否や、ずいと袴姿の脚をすり寄せ羽織をバッとはだけ、
せなに咲き乱れる桜吹雪を一座に披露し、カッと一喝。
「この桜吹雪に見覚えがねえかい!」 ハッと息を呑むお白砂の面々。
まさに北町奉行・遠山左衛門尉こそは、遊び人の金さんその人でありました。
万事休すと斬りかかる悪代官の白刃を扇子で叩き落とし、
「その者、打ち首獄門に処す!」と宣告。白砂でうなだれる悪人どもに更に
江戸市中引き回しだの、張り付けだの、罪に応じた厳罰に処すのでありました。
極悪には極刑を。
現代のエセ・ヒューマニズムが奪い去ったこの自然な希求を、
昭和時代の時代劇は存分に堪能させてくれたものであります。
逆に、貧しく身分が低い故に無実の罪に陥れられそうになった者は無罪放免。
勧善懲悪。これぞ時代劇の醍醐味でしょう。
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