私的 昭和テレビ大全集
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必殺仕置人 (1973)

該当番組画像募集
のさばる悪をなんとする。
天の裁きは待ってはおれぬ。
この世の正義もあてにはならぬ。
闇に裁いて仕置きする。
南無阿弥陀仏。


テレビ界を語る時、「腸捻転解消」という言葉が度々出てきます。
昭和40年代、関東TBSの関西系列局は朝日放送で、
NET(テレビ朝日)の系列局は毎日放送だったのですね。
民放産みの親とも言える日テレと読売こそ系列同士でしたけど、
その他の局については、将来性抜群というのが見えてきたテレビ産業に
参入したいという会社が目白押しとなり、既にマスコミを形成していた
新聞社が放送局まで持つ事に、やっかみ混じりの批判が有ったわけです。
やっかみ混じりなのも事実としても、これは一理ある事で、
たしかに新放合一がなされてマスメディアは第四の権力とまで呼ばれるようになり、
しかも、時には日本の国益を損なうかの如き形でまで独自性を発揮したがったり、
理念的にも結果的にも、日本にとって誤った選択だったとワタクシは思います。

それは取り敢えず今回は置いておきまして、捻転解消前のTBS-朝日ラインというのは、
非常に面白い矛盾を孕み、止揚してきた繋がりとして興味深いものが有ります。
ドラマのTBSとまで言われたTBSを代表するドラマだったものは、
石井ふく子の織りなす『肝っ玉かあさん』『ありがとう』や、
久世光彦の産み出す『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』『ムー』といった面々。
一家揃ってカメラ用に席の空いた食卓を囲み、のべつ飯を食って笑い合う団欒風景。
時には殴り合う団欒も描かれてましたけどね。
本当は冷めた関東人が、こうした絵空事をTV画面の中に許容していた。

一方で、関東人より温かいとされる関西人たる朝日放送では、
山内久司がそんなものはやりたくないと、アンチホームドラマを量産しだすのです。
『月火水木金金金』『お荷物小荷物』といった作品は、ホームドラマの体裁を取りながら、
その内実はホームドラマをぶち壊し、果てはドラマの枠組みすらぶち壊してしまいました。
これら両極の作品群が同じチャンネルで放送されていたのですから、
改めて振り返ってみるとなかなか味わい深いものが有ります。
当時は勿論そんな感慨は無くて、単純にそれぞれを皆が楽しんでいただけでしょうが、
おそらく作っていた当人たち、特に関西側には、関東(=全国ネット主導)
なにするものぞ!という意識は多分に有ったのではないかと推察します。

そんなアンチホームドラマの山内が、フジの木枯らし紋次郎打倒の為に産み出したのが、
アンチホームドラマの極致、必殺シリーズでした。
無宿渡世のヤクザ者をニヒルにリアルに描き、脱時代劇を成し遂げた紋次郎を破る為に、
ニヒルを更に押し進め、能動的にいわゆる「悪」に手を染めていく者たちを主役にする。
これはもう、70年代初頭のあの空気が無ければ、およそテレビでは実現不可能でしたし、
当時の空気を持ってしても、批判・反対が噴出する事は、容易に予測できた事でした。
それでも山内が押し進めたこの路線は、結果的に視聴率によって支持され、
『必殺仕掛人』は、ついにあの紋次郎を軍門に降してしまうのです。

そんな必殺仕掛人を終了させ、原作無しの完全オリジナルシリーズ制作となった時、
山内は、サラリーマン代表として藤田まことを抜擢したと言います。
『スチャラカ社員』で名を成し、『てなもんや三度笠』でTVコメディアンとして
不動の地位を築いたかに見えていた藤田を、よりにもよって必殺のような作品に、
それも、まだ路線が安定しておらず、地歩固めに大事な二作目の要所に配役するというのは、
視聴者目線から言っても意外でしたし、関係者でも反対意見が多かったようです。
しかし、結果的にはこれがまたまた大当たり。

主たる殺しの方では、山崎努が演じる念仏の鉄が前作の梅安にあたるような役回りで、
今度の殺法は、手で骨をボキボキと折ってしまうという力業。
レントゲンを用いた写実的、かつコミカルな演出も当たり、
必殺という単語、必殺仕置人という言葉は、いよいよ世間に認知されました。
そんな折り、必殺に刺激されたという殺人事件が起こり、
この番組は窮地に陥る事になるのですが、山内ら現場サイドは勿論、
スポンサーサイドまでが擁護に回り、取り敢えず番組は続行されたのでした。
これまた、現在では難しい事なんだろうなと思います。

そんな有力スポンサーは、中外製薬と日本電装。
中外はグロンサンを売り出しており、おそらくそれ故に、
サラリーマン代表とされる役柄が求められたのでしょう。
藤田演じる中村主水は、職場でうだつが上がらず、家庭では嫁やその母にやり込められ、
しかし裏の顔では非情さと凄腕でもって大活躍と、サラリーマンの溜飲を下げたのでしょう。
そして中村主水は、その後なんと三十年以上にも渡る『必殺』の顔にまでなるのです。
これを強面の役者がやったのでは、ああまで愛されるキャラになったかどうか。
コメディアン上がりの藤田が漂わせる哀愁とあの風貌こそが、
必殺という番組、主水というキャラクターを身近に感じさせた事は疑えないでしょう。
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コメント
この記事へ寄せられたコメント
寂しいです
こんにちは。
藤田さんの突然の訃報に驚き、今とても寂しい思いです。
「紋次郎」を研究し尽くして打倒を誓った山内さんですが、さすがのキャスティングに敬服します。
あの路線がこんなに息長く、人気を博するとは……。
「主水」さんの代わりをする方は、永遠に現れないでしょうね。
味のある存在感のある演技をもう観られないと思うと、じわじわと寂しさが募ります。

ご冥福をお祈りします。
2010/02/20(土) 16:02:22 | URL | お夕
南町奉行なら
設定を吉宗と大岡越前の時代にして最後に吉宗が退治されるのに期待していたんだが絶対不可能になってまったがや

ちなみに何回か奉行に実在の鳥居として出てくるんだが
2010/02/21(日) 16:02:30 | URL | 熱血王 ガッツィンガー
● お夕さん
そうですねえ。
藤田さんは完全なるTVが産んだスター第一世代で、ワタクシも喪失感は大きいです。
必殺シリーズが定番になってしまうなんて、当時は誰も想像しなかったでしょうね。
これからの『必殺』はどうなって行くんでしょうか。


● ガッツさん
吉宗退治って…(苦笑)
吉宗公は特に悪人ではないから、仕置の対象にはできないでしょう。
鳥居奉行は時代劇の定番悪役ですからね。
でも、テレビで「退治」はできないでしょう(苦笑)。
2010/02/21(日) 19:59:45 | URL | ごいんきょ
>これを強面の役者がやったのでは、ああまで愛されるキャラになったかどうか。
コメディアン上がりの藤田が漂わせる哀愁とあの風貌こそが、
必殺という番組、主水というキャラクターを身近に感じさせた事は疑えないでしょう。


これ、ワタシも全く同感です☆

ふと思いついてブログの中で書こうと思いつつ、すっかり書くのを忘れていたポイントでした。


ごいんきょさんのコラムは、いつもとても素晴らしくて勉強になります~♪

2010/02/24(水) 00:30:21 | URL | (ハンドル未記入)
あら。折角ですからURLも記入して欲しかったです。
哀愁あるコメディアンでも、渥美さんのような砕けきった人だと必殺には合わな過ぎだと思いますし、
やはり藤田さんでなければ、あれだけ軸となるキャラクターとはなり得なかったんでしょう。
2010/02/24(水) 01:36:44 | URL | ごいんきょ
↑わお、すっかり名前も忘れていました~!(笑)

でもほんとにおっしゃる通りで、同じコメディアン系の人でも渥美さんでは、しっくりきませんよね~。。。また全然違う味の方ですもんネ。

最初にキャスティングを思いついた人の眼力が素晴らしかったなあと思いました。




2010/02/25(木) 22:45:11 | URL | マナサビイ
元締めの虎
元祖ミスター・タイガースと呼ばれた藤村富雄氏が元締めとなったシリーズがあった記憶があります。
名前は「虎」
一度本人も仕置きに参加して、バット型の鉄棒で、鉄球を打って仕置きするという物。
オールドファンにはたまらなかったかも。
2010/03/16(火) 11:53:46 | URL | サハラ
再発見多し
つい最近まで、スカパー!の「ホームドラマチャンネル」で毎週やっておりましたので一応一通り見てみたのですが……

やっぱり面白かったですね。

ただ、「主水」さん目当てで見てると少しガックリすることもあるかもしれないかも?
(出てこない回や出ても殺しに加わらない回もある)

それでも、仕置人のそれぞれのメンバー、
現実主義者の「念仏の鉄」(山崎努さん)
理想主義者の「棺桶の錠」(沖雅也さん)
お調子者の「おひろめの半次」(津坂匡章=秋野太作さん)
姉御肌の「鉄砲玉のおきん」(野川由美子さん)
そして、ムコ殿「中村主水」(藤田まことさん)
それぞれにキャラが立っていたのと
やはり、後年の「必殺」のもとと言ってもいいようなストーリー展開もあって、自分のようにリアルタイムで見ていなくともすんなりと入っていくことができたように思いますね。

個人的には初期の回(1~6話まで)
に「ハングマン」の匂いを感じて好きな回が多いですね。(一殺しというよりも死に近い苦しみを悪人に与えるような感じというところでしょうか?)

スポンサーの話は……
(リアルタイムで見てないので略)
2010/11/01(月) 22:52:28 | URL | yig
● マナサビイさん
おお。著者近影も可愛い、マナサビイさんでしたか(笑)。


● サハラさん
新・仕置き人ですね。
本文で書いたような事で、世間の目が厳しくなってきていたので、
少し柔らかい路線で行こうとしていた時期でしょうね。


● yigさん
ホームドラマチャンネルは松竹系ですので、必殺シリーズは放送し続けております。
中村主水が必殺の顔のようになるには、前コメントのような事情が大きかったのでしょう。
元々は一人のメンバーに過ぎなかったんでしょうが、
笑いとか親しみ易さを強めなければいけない時期が有ったんですよね。
2010/11/23(火) 18:31:08 | URL | ごいんきょ
腸捻転解消前のTBS系は6チャンネルが2大都市間共通でした。

在京局と在阪局の対立ゎ現在においてもテレ東系以外の各局で共通してあります
(テレビ大阪は自社制作率がテレビ愛知やTVQを下回る)。

日テレの意向で開局した読売(10チャン)は自社制作率が高いです
(AKBINGOをネットせず自社制作番組を流す等)。
2012/08/29(水) 08:48:27 | URL | 山部
ハハア、そうでしたか。
で、8は不動のフジ関西系という事ですね。
2012/08/30(木) 23:40:17 | URL | ごいんきょ
金曜日は
84年ごろ良く見ていました。京本政樹さんの組み紐屋の竜とか中条きよしさん(番組内の役名は忘れました。)とかカッコ良かったです。ニュースステーションが金曜日だけは必殺に時間を譲って23時始まりだったような記憶があります。理不尽な事の多い昨今改めて見たい番組のひとつです。
2012/08/31(金) 20:17:36 | URL | とらお
竜とかは仕事人、それも末期の方ですね。
京本さんもあれで人気が更に盛り上がったなあ。
2012/09/02(日) 13:36:39 | URL | ごいんきょ
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