私的 昭和テレビ大全集
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日日の背信 (1960)

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「女優」
という佇まいの人が少なくなりました。
平成以後は皆無…と言っていい状態なのではないでしょうか。
むべなるかな、テレビ番組はほとんどバラエティ仕立てで、
時代劇は壊滅状態、数少ないドラマもコメディー路線が主流。
純粋に俳優として糊口を凌ぐというのが、そもそも至難の時代です。

加えて文化も低俗化。
教養ある佇まいの女性はむしろ疎まれ、
特に若いうちは蔑まれすらするであろう白痴化。
こんな世に、美と知と行の備わった昔日のような「女優」を望むなど、
詮なき事と言えましょう。

そもそも和服の人間を見なくなりました。
男女とも、和服姿ですと行動が落ち着かざるを得ない。
特に女性は尚更で、だからまあ、女性の活動の幅が広がるにつれ、
和服姿のご婦人が街から消えていったのも、理の当然なのではありましょう。
街からは消えたとしても、虚像たる女優で和服の似合う人がいないのも、
ワタクシなどの世代からすると淋しいものです。

池内淳子は、そんな和服の似合う女優の第一人者とも言える存在でありました。
♪ カツオ風味のほんだし~
今でも時々脳裏を過ぎるあのメロディーとセットで浮かぶその姿。
東芝日曜劇場『女と味噌汁』のイメージを最大限活かしたCMでしたが、
その他のドラマでも、和服の似合う貞淑なおかみさんという役どころが多かった。

とりわけ日本テレビでは、既述の『つくし誰の子』の大ヒットに続き、
『ひまわりシリーズ』一連のヒットで、そのイメージは確定しました。
訳ありの子供たちを一人で力強く育てていく女の様は多くの支持を得、
視聴率20%以上を確実に計算できる女優として、日テレ専属契約まで交わしたものです。
ただ、彼女のその路線は、TBS『ただいま11人』からのものと言え、
テレビ初登場から視聴率を稼ぎ続けていた彼女の出自は、およそ正反対な路線でした。

よろめき女優。
既に左前となっていた新東宝の駆け出しだった池内は、
まだ蔑まれていたテレビ媒体で、しかも映画時代には経験した事の無い、
肉感的演技を要求される役で活路を見出したのでした。
ライオン奥さま劇場となる前の、フジテレビ午後1時から30分。
それまでお堅いご婦人向け番組しか無かったその時間帯に、
吉永小百合サマを強奪した極悪人(笑)、岡田太郎が昼メロを開拓。

芸術は、爆発だ! の人じゃないですよ。
岡田は文化放送からフジテレビに流れ込んだ人間の一人で、
文化放送でやっていたラジオドラマ『日日の背信』の反響を知っていた。
ある時、フジの仲間うちで話している時に、この昼メロ路線を提案。
これに、柳沢真一との結婚即離婚で半ば干されていた池内が乗り、
周りの危惧する中やってみると、たちまち昼の日中に30%近い視聴率を獲得。
まだテレビの普及し始め当時の昼1時にこの数字で、池内淳子の名は轟きました。

内容は、病弱な妻を持つ会社社長が、ある妾に惚れてしまい、
ともに背信の想いを抱きながらも惹かれ合うというものでした。
結局この妻は病死するのですが、「早く次の人を貰って下さい」という
妻の言葉にそれまでの日々を悔い、関係を清算するというものでした。
丹羽文雄の小説をドラマ化したもので、『にちにちのはいしん』と読むようです。
池内は勿論、悩ましくも慎ましい、お妾さん役でした。

このドラマの登場は、当時としては非常に衝撃的なものだった事が、各種資料から偲ばれます。
なにしろ昭和35年の事とて、露骨なエロ番組は皆無。
そこはかとないエロを漂わせた番組は有りましたが、いわゆる大人の時間たる、
夜十時を過ぎてからというのが常道で、今でもうるさそうな真っ昼間に、
よろめきメロドラマを流すという事は、当時の常識を打ち破る所業でした。

当時の事とて、よろめき描写と言ってもたかが知れているもので、
せいぜいが和服姿の池内のうなじやら、ほつれた脚やらをアップで映す程度だったと思われます。
しかし、この執拗なアップが情感を増幅させ、岡田は「アップの太郎」と持て囃されました。
まだ発散の術なく家庭に縛られていた主婦連は、抱き合う図だけでも刺激を感じたのでしょう。
池内はその後もしばらく同様の路線で縦横に活躍し、元祖「昼メロの女王」として
大いにその存在感を発揮し続けたものでした。

TBS『ただいま11人』に出演して石井ふく子と知り合った事が転機となり、
その後は前記のように、よろめき変じてむしろ禁欲的な女房・母親像で活躍。
昭和テレビドラマの黎明期から最末期まで、女としても娘としても妻としても母としても輝いた、
正に昭和を代表するテレビ女優の第一人者と言える存在だった池内。
その娘役の代表作『ただいま11人』も、女としての代表作である本作も、
再見が叶わない事が、毎度の事ながら非常に悔しいです。
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コメント
この記事へ寄せられたコメント
池内淳子さん
記事にあります『ただいま11人』がとても懐かしいです。
池内淳子さんの訃報を聞いたとき、まずこのドラマを思い出しました。
9人兄弟の長女の役で「おおきいちゃん」と呼ばれていたので、我が家では他の番組で池内さんを観ても暫く「おおきいちゃん」で通っていました。

池内淳子さんは着物がお似合いになる美しい女優さんでしたが、落ち着いた声も素敵でした。

ごいんきょさん、いつか『ただいま11人』も記事にしてください。
2010/10/13(水) 20:43:34 | URL | モデラート
ただいま11人、ぜひ記事にしたいです。
しかし、あれだけの番組なのに異常に資料が無いんですよ。
2010/10/24(日) 21:43:56 | URL | ごいんきょ
「女と味噌汁」のイメージで、
「女と味噌汁」のイメージで作られたCMといえば、「かつお風味のほんだし~」もそうだけど、その前(昭和44,5年頃)に作られた、東芝電子レンジのCMも、まさに「女と味噌汁」そのものでした。

当時の電子レンジは、もちろんオーブンやスチームなどなく、タイマーとスイッチだけの重厚な白い箱で(その数年後に、スライド式のメニュー連動型タイマーが流行ります)、値段は15万円ぐらい。一般家庭ではとても買えるような値段ではありませんでした。

今ではとても考えられないような、まさに「夢の調理器」のようなデザインでした。

そのため、取説やクッキングブックを見ると、今ではけっこう無理があることがよく書いてあります。
2010/12/07(火) 20:40:38 | URL | 10000k
池内さんの電子レンジのCMはよく覚えてないですね。
有った気もしますが。
昔の電子レンジは大きくて重くてねー。
2010/12/13(月) 02:41:39 | URL | ごいんきょ
マイ・ブーム、池内淳子さん
私は、「よろめきドラマ」の時代も、「ただいま11人」の時代も知りません。

昭和八年生まれの池内さんは、私の母と同じ年です。
私は、恥ずかしながら、池内さんの作品はあまり見てませんでした。正直、あまり好きではなかったんです。どこか、母親とだぶる部分があり、今にして見れば、多感な心の反抗期だったと思います。

お亡くなりになられて、それでも、しばらくしてからCS放送で初めて、「女と味噌汁」を見て、今まで何をそんなにこだわって、見なかったんだろう、と落ち込むほど、感動しました。

いつも、どこにでも、傍にいるような、それでいて、中々いない人。笑っていても、口元がきりっとしてて、怖い人。低い声で、流れるようなきれいな言葉をしゃべる人。

私は、吸い込まれるように池内さんのファンになりました。本当に、遅かった、もっともっと早く気がつきたかった、そしたら、池内さんのお芝居もたくさん見れたのにと、思いました。

今はただ、迷子になった子供が、母親を探し追いかけるかのように、池内さんの作品を見てます。

たとえば、かつて、「任侠ヘルパー」一話を見て、主人公と痴呆老婆との物語に感動したのですが、それに出演してた痴呆症の老婆の役が、池内さんだったことに、驚いたり、悲しんだり。とっても、複雑でした。

とにかく、面白いテレビ番組のない中で、池内さんのお陰さまで、心からテレビを楽しませていただいてます。
池内さん、素敵な作品を残してくれてありがとうございます。今は、感謝の気持ちでいっぱいです。

             合掌
2012/11/15(木) 00:50:23 | URL | シマウマ
おお。偶然と言うか、丁度たった今、日曜劇場の記事を書いたところです。
そこでも書きましたが、池内さんは『女と味噌汁』から本格的な人気を得て、
日本テレビで橋田壽賀子脚本の『つくし誰の子』で賢母役へと脱皮、
以後は日本テレビ専属として、視聴率20%ドラマを量産しました。
その『つくし誰の子』も『ひまわりシリーズ』も、まだ見る事が難しいのは残念です。
CS日テレさんに頑張ってもらうしかないな。
2012/11/16(金) 02:31:13 | URL | ごいんきょ
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