私的 昭和テレビ大全集
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光子の窓 (1958)

該当番組画像募集
♪ 窓を開けましょう~
  花の香りが~
  あなたのほほえみを 運んでくれる
  夢を語りましょう~
  甘いリズムが~
  わたしの 想いを 叶えてくれる
    あなたの真珠の ひとみをみつめ 
    すてきなこよいを 迎えるひととき
  花椿に寄せて歌いましょう
  あなたと 私の 幸せを~


テレビが呱々の声を上げてより、この時5年。
人間で言えばもう幼稚園。
普通に歩けば言葉も喋るが、まだまだ先行きが見えないし、
放っておけば何をするかわかりやしないという時分。
そんな頃、辿々しくも歌と踊りと笑いを詰め込んだ、
ショー番組、バラエティ番組を創ろうとする人が現れたと。

生中継の特質を活かした、電波垂れ流しのような番組が羅列されていた時代、
この番組はなかなかに画期的な存在だったのだろうと思います。
もっとも、当時のテレビにはアメリカというお手本が有って、この番組も、
あちらのダイナ・ショア・ショーやペリー・コモ・ショーあたりが元なんでしょう。
当地のホステスは草笛光子。
都会的で端正な顔立ちに加え、SKD出身という事で歌も踊りもお手の物でありながら、
喜劇的な味にも心地良く染まれる、嫌みの無い品の良さを待つ彼女であれば、
正に打って付けの人材だったと言えましょう。

彼女もですが、裏方の方でもこの番組から非常に多く巣立ちました。
三木鮎郎、永六輔、キノトールといった三木トリローグループの面々も、ここからです。
そもそも、いわゆる構成作家という存在はこの番組から誕生したと言われます。
永六輔はその後、左翼活動にかまけて番組をすっぽかし、井原の逆鱗に触れて出禁。
井原曰く、思想はどうでもいいが番組に穴を開けるのはけしからんという事だったようです。
そんな永も、NHKに流れてこの番組の後継のような『夢であいましょう』を制作。
本家日テレの『シャボン玉ホリデー』と共に、バラエティーの王道を築きました。

それら数々の人材を配置したのが、井原高忠。
後には大橋巨泉を世に出したり、『スター誕生!』でアイドル新時代を創出したり、
ミスタージャイアンツが長嶋茂雄なら、ミスター日本テレビは彼でしょう。
そう言えば、この光子の窓の第一回ゲストは、長嶋だという事です。
三井一族という家柄の井原は、良くも悪くもお坊ちゃま。
怖いものなど無く、或る種の潔癖性を発揮していたものと思われます。
世上喧伝される渡辺プロとの戦争などは、その最たる例ではないでしょうか。

この光子の窓で、唯一現存している回が有ります。
番組終了も近い第130回「イグアノドンの卵」は、カラーVTRを使って最先端の映像技術を駆使した、
芸術祭参加の意欲作で、だからか、奇跡的にキネコ保存されていました。
この回は時間も15分延長の45分放送で、通常とはやや趣の違う、
純然たるミュージカルといった風情の大作です。
内容は、テレビに現を抜かす大衆に目をつけた泥棒たちが集まって、たわし会社を設立。
スポンサーとなって、スリラーやお笑いなど大衆受けする番組を朝から晩まで作り、
人々をテレビに釘付けにし、その間にせっせと泥棒に励むという案配。

しかし、その会長が泥棒会社で大金を稼いだのには更なる目的が有り、
核武装して敗戦の汚名を雪がんというのが、究極の悲願だったのでした。
彼の手による核ミサイルで、ついには彼らも含む全人類が破滅…
というところで場面は司会の三木鮎郎に戻り、恐竜イグアノドンの絵を見せる三木は、
私たちは二つのイグアノドンの卵を持っています、
一つは原子力、もう一つはテレビではないでしょうか、と、
些か唐突な感じで警告的な話をしだすのでした。

そして、その言葉にはなんら解説も無く、舞台はフィナーレに突入。
♪ イグアーノドン イグアーノドン
  イグアーノドンが卵を産んだ
華美に、朗らかに歌い踊るその画面から、井原の暗喩を理解できた人は、
おそらく当時、皆無に近かったと思われます。
なにしろ様々な情報が限られていた時代ですし、しかしだからこそ、
このような暗喩的な手法とはいえ、このような内容のものが制作できたとも言えます。

昭和28年、日本に於いてテレビ放送開始。
初の民間放送たる日本テレビの正力松太郎は、アメリカの意を受けた存在でした。
アメリカは、日本を効率的に教導するためにテレビジョンを利用するのが有効として、
日本のテレビ放送網を企図したというのが通説であります。
もう少し具体的に書けば、反共通信網がテレビの出身母体だったようです。
そして翌昭和29年、同じ正力科学技術庁長官の働きにより、原子力予算が通過。
正力は長らく、「テレビの父」「原子力の父」と称えられました。

番組中で「おそろしい姿」と形容されたイグアノドンとは、
実は日本テレビ社長であった正力松太郎その人の事だったのでしょう。
更には、もっと巨大な背後のアメリカそのものを指していたのでしょうか。
井原は、怪物のような自分とこの社長が、アメリカの意を受けて日本にひょっとしたら
災いをもたらす事になるかもしれないものを二つ作ったと、暗に批判していたわけです。
この番組中では、原子力はそのまま原子爆弾として描かれており、
ずっと後年になって、まさか原子力発電所そのものが災いをもたらすとまでは、
この時には考えていなかったと思いますが、慧眼とは言えましょう。
また、原発開発に隠された正力や中曽根の真意を、井原なりに想像した描写だったのでしょう。

いくら暗喩的とはいえ、言及されているのが原子力とテレビなのですから、
関係者たちどころか、正力本人も、おそらくピンと来たはずです。
当時、読売内に於いて絶大たる権力を持っていた正力にこれが出来たのも、
井原が三井出であるという部分が大きかったんだろうと思います。
日テレを追い出されても、なんとでも生きて行けたでしょうからね。
とは言え、現今のテレビ人とは反骨度の桁が違う事は確かです。

番組内では、草笛以外の登場人物は仮面を被って、不気味な無表情。
そんな視聴者たちがテレビに現を抜かし、家中のものはおろか、
ついには家そのものまで盗まれてしまうというコミカルなくだりがあります。
これも、バブル以降の急速なアメリカ化と、それに伴う各種歪みを予言しており、
更には今日の作られた韓流ブームとやらにまで至るものです。
テレビは、実は、有りようによってはとても恐ろしいものだったのです。
そしてテレビが散々日本を破壊した現在、イグアノドンは孫を産んでおります。
それは、インターネットですね。

光子の窓が放送されていたのは、日曜夕方6時半。
花椿ショウと題して、資生堂が提供していたお洒落な枠でした。
草笛の結婚により終了して程なく、正統後継のシャボン玉ホリデーが同枠に登場。
これまた光子の窓同様、歌あり踊りありの洒脱なショウでした。
思えば1960年代までは、日本のテレビにもイグアノドンにならない可能性が有ったのです。
これについても言及し、そこから、ではどうすれば良いのか、
まで書こうとしていたのですが、ここまででもかなり長いこの稿が更に異常に長くなり、
加えて正直、意味も無いであろうとも思いますので、今回はこの辺にしておきます。


「イグアノドンの卵」の回のみが現存しているためこんな稿になってしまいましたが、
普段の『光子の窓』から覗けた楽しい想い出コメントをお寄せ戴ければ幸甚です。
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この記事へ寄せられたコメント
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「イグアノドンの卵」のくだりは、私も以前断片的ながら観た事があります。確か日テレの開局25周年特番の中でしたが、その当時は、ここまで深い内容だったなんて気付くべくもありませんでした。
66回目の原爆忌を迎えた今日、今一度我が国の原子力政策を問い直そうという趣旨の記事を、私も書いてみました。
2011/08/06(土) 16:14:12 | URL | うみがめ
そうですよね。
ワタクシも色々とテレビについて調べるうち、
テレビの出自や正力氏の素性なども知るようになり、
ようやくとボンヤリ理解できつつある感じです。
往時の人々は何がなんだかわからなかったでしょうが、
それでも番組として破綻はしていないんですね。
実によく作り込まれていて、騙されます(笑)。
この頃は制作費を無駄な事に使っていなかったのが窺い知れる、大作です。
2011/08/11(木) 22:24:34 | URL | ごいんきょ
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2011/08/06(土) 16:00:33 | カメログ・アネックス
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