私的 昭和テレビ大全集
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氷点 (1966)

該当番組画像募集
ウウウーウ ウウウウ~
ウウウーウ ウウウウ~


いきなり何を唸ってるんだとお思いでしょうが、
これはテーマソングを口ずさんでいるのです。
大氷原をバックに厳かと言うか、悲しげな女声スキャットが延々と続くオープニング。
テレビ音楽の大奇才・山本直純の真骨頂で、寒々とした雰囲気をよく醸し出していました。
元々は、朝日新聞が大枚壱千萬圓也を餌にした懸賞を獲得してで話題を呼んだ、
三浦綾子の新聞小説でありました。
いつかも書きましたが、かつては連載小説が新聞の読者数を左右したのです。
新聞発祥当時は漫画なんて有りませんし、毎日漢字交じりの記事を読むなんて習慣を持つ人は、
かなりの知識層であったでしょうからね。
1960年代までは、そんな風潮がまだ残っておりました。

そのテレビ化という事で、普通ならこちらも大々的に扱われそうなものですが、
内容が非常に暗いためテレビ向きではないと捉える関係者が多かったようです。
そのためか、わずか1クール13回の放送で、時間帯も夜10時からと、
当時としては遅めの、恵まれぬ時間帯の作品となりました。
ところがフタを開けるや、社会現象となる大ヒット。
最終回視聴率は40%オーバーという事ですが、占有率はどれほどだったのでしょう。

短い放送期間でこれだけの大ヒットとなったのには、当然理由が有るはずです。
第一には、知名度が有った事でしょう。
当時の金額で一千万円、今なら億をも超えるような貨幣価値だと思われますが、
そんな大枚をはたいたのは、広告効果を考えたという面もあるのでしょう。
この辺、企画立案者の功績、大なるものが有ります。

第二に、それだけ新聞社が力を入れた作品だけに、ドラマに対しても
有形無形のサポートが有ったであろう事。
少し前で言えば、突如降って湧いたような韓流ブームみたいな感じで、
様々な形でのプッシュが働いていたと思われます。
もっとも、この辺に関しては決して表には出て来ない要因ですので、想像の域を出ません。

ただ、どれだけ広告面で引き寄せたところで、肝心のドラマそのものの出来が酷ければ、
視聴者はすぐにそっぽをむいてしまいますから、最終回の喧噪は有り得ません。
話そのものが良く出来ていたのは当然ながら、番組の出来も良かったのは自明です。
特に目を惹いたのは、やはりこの番組で名を売った内藤洋子でしょう。
先に配役が決まっていた新珠三千代が推挙したと言われ、
洋子の名は陽子役を演じたからというわけでなく、本名だったのですね。
内藤医院の娘と紹介されてグラビアを飾ってもいたようですが、
医師の娘というのも役と共通している点で、ちょっと出来過ぎな感じがします。


夫の留守中に夫の同僚と危うい一線を越えそうになった医師の妻。
彼女がそんな複雑な時を過ごしている正にその時、幼い娘が殺されてしまう。
妻はその時に来客中だった事を告げるのをためらったため、
後に事件が発覚してから夫にその事を知られ、夫は二人の仲に疑念を抱く。
妻は自分が他の男に心を奪われそうになった際に娘が殺されたのを気に病み、
紛らすためにも新しい娘を貰いたいと夫に懇願する。

この時、かねてより嫉妬に苛まされていた夫の心中に悪魔が宿る。
既に獄中で自殺していた、我が娘を殺した犯人にも娘がいて、
母親は既にいないため身寄りをなくした事を知ったこの夫は、
「汝の敵を愛せよ」というキリスト教の言葉を実践したいと友人の医師を説き伏せ、
妻には女子の出自を内緒のまま、自分達の娘として貰い、育てる事にした。
だが彼の本心は、それと知らずに自分の娘を殺した男の娘を育てさせる事により、
自分を裏切ったと彼が思い込む妻に対する、復讐としてそれを実行したのだった。


というのが物語のあらましです。
夫の目論見通り、当初は妻も我が娘のように可愛がっていたのですが、
当然のようにやがては妻も事情を察知する事になり、
この時より、貰い子である陽子の人生は一変してしまいます。
この、最初は普通の貰い子として可愛がられていたというのが物語に深みを与えていて、
夫妻の実の子である兄は、陽子が実の妹ではないと知ってから複雑な愛情を抱くようになり、
妻もまた、自分の実の子を殺した男の子供と思えば扱いも酷くなるのですが、
情愛を持って育てた期間もそれなりに長いため、やはり娘のように思う部分も捨てきれず、
この辺の登場人物の心情描写が、さすが一千万は伊達でないという感じでした。

妻は知っても陽子は最後まで真相を知らされなかったため、
母親が何故、自分に対して辛くあたるのかに悩みます。
しかも、表向きは母娘ですから、露骨なイビリではなく、
あくまでも不慮や過失や善意を装った形で辛い目に遭うため、誰も責められないのです。
そして陽子は、殺人犯の娘でありながら容貌も頭脳も他者より秀で、
加えて性格も非常に人格者然とした存在だったため、妻はそれがまた癪に障り、
より陰湿な形で陽子に辛い仕打ちを与えるのでした。

主人公が健気にイビリに耐えるヒットドラマと言えば、なんと言っても
この少し後に出てくる細うで繁盛記となりますけど、
そちらはイビられる側の主役が、ここでのイビリ母である新珠三千代。
実はこの氷点、新珠は当初の自分の認識よりも自分がイビリ役となっていたので、
内心不満を持っていたと言います。
当時の事とて、テレビと現実の区別がつかぬ人が市中には溢れており、
現実の新珠三千代に対して厳しい声を浴びせる人も多かったらしいです。
細うで繁盛記は、そんな彼女に対する救済番組でもあったのでしょう。
池内淳子が、よろめき女優から身持ちの堅い母役に転じたのと通じるものが有ります。

そして佳境。
医師の妻はとうとう、陽子が殺人犯の娘のくせにこの家で好き勝手に振る舞うのを我慢できず、
陽子に好意を持つ男の前で、自分が知る真実をぶちまけてしまうのです。
この時の新珠と、陽子の知人の演技は、非常に素晴らしいものでありました。
喜怒哀楽のうち、怒哀の演技は比較的には簡単だとは思いますけど、
昂ぶる感情を抑えきれない妻の演技と、その言葉に断固反駁する知人とのやり取りは、
このドラマの最高最大の見せ場に相応しい、天晴れなものでありました。

結局、芦田伸介演じる夫も実は友人に騙されていて、陽子は犯人の子ではなかったのですが、
そうと知らぬ陽子は、一人雪原の中へ消えていく、というラストでした。
ちょっと両親から冷たくされると、実は自分は実の子ではないのではないか、
死んでしまおうかなどと夢想する女子がここから増えたと想像されます。
作者は生死不明という形にしたかったと言われますが、テレビ的な事情からか、
発見された陽子はなんとか一命を取り留め、血の繋がらぬ兄とのやりとりを描く、
続・氷点の制作へと続く事になりますが、そちらはさすがにあまり注目されませんでした。
ちなみに陽子の兄は、この番組では岸田森が学生服姿も初々しく演じております。

それにしても、この映像を全話保管してくれていたNET関係者には、感謝と賛辞を伝えたいです。
同じ新珠の代表作である細うでの方は、時代が下る昭和50年代まで再放送されていたのに、
2話だけを残して消されてしまう憂き目に遭っており、もう、かの人々の好演を見る事は出来ません。
特に冨士真奈美の正子の演技が見られなくなった事は、テレビ史的に大損失でした。
ところがこちらは、まさかの全話残存。CSで放送された時には、我が目を疑いました。
だいこんの花も保管されていたり、実はNETのドラマ保存状況は、
巷間感心される事の多いTBSより上なのかもしれません。教育テレビ局だった事に拠るのでしょうか。
いずれにせよそのお陰で、テレビ史に残る新珠の演技を今でも堪能できるわけです。
まさか、既に亡くなっていたとは思っていませんでした。
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コメント
この記事へ寄せられたコメント
氷点あっしもみていやした。
山本直純の主題曲が印象的ですね。山本さんの楽曲はたいてい好きで、有名な「颱風とざくろ」の主題歌もそうでした。
後者もDVD化してほしいのですがね。
2012/12/12(水) 01:18:37 | URL | まりんこ
颱風とざくろ。
森山良子さん歌唱らしいですが、非レコード化主題歌の一つらしいです。
往時はそんな歌がゴロゴロしていて勿体ないんですよね。
CS放送してくれないかな。
2012/12/16(日) 20:38:49 | URL | ごいんきょ
氷点
当時高校1年生であり、新聞掲載時からの大ファンでした。単行本化されると、大ベストセラーとなり、TV化されるとこれまた高視聴率獲得した話題作でした。配役や演出が素晴らしく、特にタイトルバックの映像と共に流れる山本直純の主題曲が印象的でいつまでも心に残っています。レコード化されると購入しました。
2013/05/02(木) 22:59:17 | URL | 熊本親父
往時の高校生は小説を読んでいたんですもんね。
どうしたって現今とは知的格差が有ると思います。
まあ進学率の違いも大きいんでしょうけど。

氷点の主題曲は、柏木由紀子さんの歌との組合せなんですよね。
ドラマの主題曲をわざわざレコードで買うというのは、当時は珍しい部類だと思います。
よほどお好きだったんでしょうか。
2013/05/05(日) 15:28:51 | URL | ごいんきょ
今現在の高校生
今現在、高校生向けの小説としてライトノベルというジャンルがあり、それが主流となっていますけどね。
これは嘗てジュニア小説とかヤングアダルト小説とか言われたジャンル(NHKの少年ドラマシリーズの原作とか「おさな妻」辺りを思い浮かべると良いかと)を現代風にしたものとも、マンガ・アニメ作品の小説化(嚆矢は宇宙戦艦ヤマトや機動戦士ガンダムの小説版か?)とも言われているジャンルですけど・・・。

ライトノベルについては、この辺を見れば雰囲気が分かるかと。

「このライトノベルがすごい!」大賞
ttp://konorano.jp

私個人としては小説界がマンガに媚びてしまっている様な感じも正直否めないですけど(何故か汗が(笑))。
2013/05/05(日) 22:07:37 | URL | TXが無いテレビなんて・・・
媚びているというか、やはり骨太な小説が売れるような、習熟した市場ではなくなっているんでしょう、日本が。
だから、漫画害悪論を今こそ声高に唱えなければ駄目なんだとワタクシは思うんですがね。
それが、今や漫画側が、よりによって権力に擦り寄っていく。
こんな腐敗・堕落は無いですよ。

PTAでも日教組でもなんでもいいので、もっと漫画やアニメをガンガン叩いて、
周りを憚らないと見られないようにして欲しいです。
2013/05/06(月) 19:16:08 | URL | ごいんきょ
漫画アニメが権力に擦り寄っていくのはなんだかなぁとは思いますが
漫画アニメが権力側に付く傾向も垣間見えるのは何だかなぁとは思いますけど、叩けば良いって筋合いでもないのが厄介でしてなぁ。

私も度々取り上げている1960〜70年代に掛けて行われた政財界並びに諸団体によるテレビ叩きの政財界側の中心に居た橋本登美三郎氏が例の浪花節宰相の大番頭(当然、某浪花節宰相の意を受けたものと見るべきかと)と言われた人物であり、で、その某宰相はそのテレビに対して一体何を行っていたのか?という事を考えると私個人としてはね・・・。
ちなみにこの宰相は「時事放談」でお馴染となった藤原弘達氏に対しても懐柔策という形で
彼が著したある本の出版を取り止めようと仕向けたりしています(詳しくは藤原弘達関連で調べるとすぐに出てくるでしょう)。
某宰相が首相就任直後に、マスコミ各社の番記者を集めてゴルフを行った際にこんな発言をしたとされています。

「俺はマスコミを知りつくし、全部わかっている。郵政大臣の時から、俺は各社全部の内容を知っている。その気になれば、これ(クビをはねる手つき)だってできるし、弾圧だってできる。」
「いま俺が怖いのは番記者のキミたちだ。あとは社長も部長も、どうにでもなる」
「つまらんことはやめだ、わかったな。キミたちがつまらんことを追いかけず、危ない橋を渡らなければ、俺も助かるし、キミらも助かる」

無論、本来なら問題発言も良い所ですが、マスコミは一切報じず、それどころかマスコミ各社はその約束を守って、彼絡みのスキャンダルを一切報じませんでした。
結局、彼絡みのスキャンダルの口火を切ったのは月刊誌の月刊文春と相成った訳でしてね。


2013/05/07(火) 15:32:02 | URL | TXが無いテレビなんて・・・
ワタクシは安倍首相を、今までよりはマシかなと思っている立場ですが、
幾つか懸念するうちの一つが、大衆迎合姿勢です。
これは、次に控えている(笑)麻生氏にも言えますが。

まあ、ああいう立場の人が殊更に叩く必要も無いですけど、
ブレーンに加えるとか、それも、日本の芸能レベルを下げている連中を。
こんな悪い冗談は有りません。

ま、この話を掘り下げてもスレ汚しですので、いずれ絡めやすいスレでも建てると思いますが(笑)。
2013/05/09(木) 21:40:27 | URL | ごいんきょ
正しいのは、第二の矢まで
現在、マスコミは語りませんが、消費増税後あらゆる経済指標がダウンしていて、かなり深刻な状況だそうです。

さて、内藤洋子番「氷点」のDVDは発売時にゲットしてあります。
2014/07/27(日) 02:05:51 | URL | まりん
いやあ、安倍晋三は日本にとって戦後最悪の総理です。
次々と時限爆弾を仕込んでますよ。
自分が在任中にはきっと爆発しないと踏んでいるのでしょう。
消費税は下げなければいけなかったのです。
あれを採用したから日本経済は落ち込んだんですよ。
でも、そうした政策も日本は独自に決められる立場ではないですからね。
根本はそこなのです。


DVDいいですね。
羨ましい。
早くワタクシにもアベノミクスの恩恵が来て、
昭和テレビDVDを買い漁れるようになって欲しいです(笑)。
2014/07/27(日) 08:25:05 | URL | ごいんきょ
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