私的 昭和テレビ大全集
Google
Web全体から検索 当ブログ内 検索
総計
昨日  本日

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -



座頭市物語 (1974)

該当番組画像募集

只今、腐敗臭漂う地上波テレビなんぞ見ている暇が有ったら、
お金を出してでも絶対に見ておく価値ありとワタクシがお勧めする、
過去のテレビ作品を紹介中です。
今回は、70年代時代劇の中から、その名は非常に有名なこの作品を扱います。



「お前さんたちゃ何かい。あっしを斬るって言いなさんのかい」
目をしばたかせながら棒を持ち、すぐさま周りの者を手当たり次第に斬りつける。
ワタクシ世代周辺の男なら、絶対に通っている物真似正門。
それが、勝新太郎の座頭市でした。
ワタクシなんぞは映画では一回も見ていないのに、
このくだりはきちんとできるわけですから、
これはもう、日本の伝統芸だったわけです(笑)。

悪名高き五社協定の大元締めだった大映の倒産は、
映画スターのテレビへの最後の垣根を取っ払いました。
取り分け、当の大映の第一人者であった勝新太郎にとっては。
勝新がテレビ映画に出てもいいと言ってるという噂を聞いた
フジテレビの関係者が、丹下左膳で有名な林不忘の釘抜き藤吉を、
企画案として勝新のところへ持って行くと、
ジーと聞いていた勝がおもむろに口を開き、こう言ったといいます。

「君が、古いものから見つけ出してきた事は評価する。
 ただ、いま話を聞いているだけでイメージが完全に出来ちゃうんだ。
 大河内(傳次郎)さんにピッタリの役だな」

後に笑って!いいともに出た時を見ましたけど、いかにもの彼の語り口。
村西とおるが経済的に最盛期の頃、使い道に困るほどの金を背景に、
困窮から過去作の権利を売ろうとしていると耳にした勝新の所へ行った際、
「俺の人生にいくらの値段をつける気なんだ」と鋭い目線で言われて、
スゴスゴ退散したという話を書いていた事が有りますが、これもそんな感じ。
俺の人生すべてかけてきた作品を、金だけ積めば買えると思ってるのか、という事でしょう。
いいともで語っていたのも、とにかく常に人間観察を心掛けてるって感じでした。

件のフジテレビ関係者はその後、勝に言われるまま何本か現代劇も検討したらしいですが、
しばらくして、「座頭市をやってもいい」と言い出したという情報を聞いた時には、息を呑んだと言います。
あの、日本の伝統芸にすらなっていた(笑)当時の座頭市。
それを、当の勝新太郎が、テレビ初レギュラー出演という看板付きでやる。
およそテレビ制作者であれば、だれでも冥利に尽きる話だったろうと思います。
それも勝の人間観察眼が、局側の勝出演に対する真摯な姿勢を悟った故なんでしょう。
大映倒産後の配給元であった東宝のみならず、勝プロ内部でも抵抗は有ったとされますが、
当の勝がやると言えば、ついに現実のものとなったのでした。

内部には堅い箝口令が敷かれ、万全を期して発表されたという、フジの座頭市。
しかし、あの勝新太郎を引っ張り出して、あの座頭市をやるわけですから、
制作費をケチるわけにはいかない。
文字通り破格の金額が注ぎ込まれ、一本作る事に嵩む赤字の額に、
フジの経理は勘弁してと泣きついたという話も伝わりますが。
しかし、それは決して無駄金ではなく、あの勝新ですから作る物は確かでした。

いま、時代劇専門チャンネルとかで普通に見られますけど、
もうね、感動するんですよ、本当に。
お話自体はなんという事もないものです。
市がどこからともなくやってきて、諍い事と関わって、
バシュバシュと蹴散らして、どこへともなく去っていく。
この繰り返しです。

では何に感動するのか。
人の熱と言うほか有りますまい。
とにかく画造りが細部まで計算されていて、驚きます。
それはよく言われるように、所詮テレビ映画だからとかの隔てなく、
勝新太郎が、また彼の意を受けたスタッフが、一本一本、
正に入魂で作っている事がひしと伝わる完成度なのです。
決して虚仮威しの言葉でなく、彼にとって作品は、人生そのものだったのでしょう。

そして、テレビ放送を計算して要所要所で披露される勝の殺陣。
勿論、物語の締め括りで披露されるそれはまた別格。
これはもう、それまでのテレビ時代劇役者では味わえなかったものですよ、本当に。
時間と金をたっぷりかけて制作する映画という場。
そこを舞台とするためにあらゆるものをかけて芸を磨き続けた俳優。
思えばこうした存在を当たり前に見る事が出来た我々は、実に幸福だったのです。
そして、そんな映画界の人材が流入してしばらくのテレビ界も、
質的な全盛期だったと言って良いでしょう。

今ワタクシは、この座頭市を見ると、本当に申し訳無い思いでいっぱいになるのです。
どうしてワタクシは、当時これを見なかったのだろうと。
少し人通りの少ない路地に入ってみれば、恐ろしく腕利きの料理人が、
素晴らしく手を掛けた一流料理を用意してくれていたのに。
そうした料理は多くの人の口には入らず、そっとゴミ箱行きとなった。
なんと勿体ない事をしていたのでしょうか。どれだけ歯痒かった事でしょうか。
もっとも、常人の物差しから大きく外れた勝新の事。
そんな世俗的な視聴率なんて、まるで眼中に無かったのかもしれませんが。
関連記事


◆◆ 関連記事 ◆◆

Loading...

[猫カフェ]futaha



この記事を読んでくださった方へ

この記事を読んだよ~という方、できれば下のコメント欄からコメント下さい。
ご自身の想い出、この記事への感想、情報、なんでも結構です。
記事や最終コメントの日付は関係ありません。
あなたのコメントがこの記事に再びの息吹を下さるのです。
トラックバック受付アドレスは、コメント欄の下にあります。
コメント
この記事へ寄せられたコメント
本当に怖かった座頭市
ごいんきょ様、
おひさしぶりです。

小学生の頃
父が買ってきたレコードが
「おてんとうさん」
当時夜勤の仕事をしていて
父の出勤前にこの曲をプレーヤーで
かけていました。
セリフ部分が子供心に本当に怖く
帰宅拒否症になりそうでした。

もし・・・どなたさまでございます
ええ寄るんじゃねえ
寄るってぇと俺ら抜くぞ

当時30代後半だった父が
本当に好きで毎日のように聴いていた曲です。

昔の歌詞は
ドラマの内容が一発で分かるような
ものが多いですね。

いろんな方が後に
市になりましたが
やはり勝新そだちなもんで
なじめません。

2012/08/17(金) 12:12:56 | URL | あみーご長嶋
一年ほど前ですか、一回コメント下さった方ですね。
勝さんの演技も入魂ですしね。
その迫力に気圧されたのかも。
2012/08/19(日) 14:33:41 | URL | ごいんきょ
最早今のテレビでこんな番組を作る事は無いんだろうなぁ(溜息)
只、裏返せば、この様な作品を無料で視聴する事が出来た(且つビデオ録画も出来た)とも言える訳で、そう考えると映画界の衰退とテレビ界の隆盛がピッタリ重なった事による偶発的な奇跡なのかもしれませんけどねえ。
2012/09/11(火) 01:00:39 | URL | TXの無いテレビなんて・・・
偶発と言うより、初期から懸念されていたように、テレビが浸食したって事でしょうけどね。
だから、テレビ黄金期の人材がもっとネット文化を盛り上げるのが歴史の必然と思うのですが、
なんだかいつまでも死に体の表現にしがみついてますねえ。
ま、官僚をぞろぞろ引き連れてこられても困るか(笑)。
2012/09/11(火) 01:51:16 | URL | ごいんきょ
最近まで知らなかったのですが、市とは名前ではなく、盲目の互助会みたいなところの位だそうですね、どうりで女まで市を名乗るわけだw

リマスターされた劇場版の「座頭市対用心棒」観ました。
三船が用心棒演じてますが、例の用心棒とは違うようでw
娯楽作品として純粋に楽しめました。

こういう有名所の合併作品って「対」が付いても大抵、共同作戦的になって対決はしないのが常ですねww
2012/10/01(月) 01:13:57 | URL | じん
あー、そうだったんですか。
なるほど。
じゃあ、その位の人はみんな市って呼ばれてたんだ。

後の東映まんがまつりでよくやっていた、ヒーロー対決タイトル。
まさかそんなところからパクっていたとは(笑)。
2012/10/03(水) 00:22:46 | URL | ごいんきょ
↑
コメントを投稿する
HP
アドレス:
コメント:
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック
↑
レンタルCGI
管理者用
ブログパーツ